ボンジョルノ。今回は、のっけから真面目な解説をさせて頂きます。
なぜか? じつは私、「伊藤さんは普段何やってるんですか?」、「ここで指導してない日は、どこにいるの?」みたいな質問を受けることが多いんです。霞を食って生きてる仙人かなんかと勘ちがいしてくれるのならまだしも、週に一日しか働かないニートトレーナー(?)のように思われてる節がありまして......。若い頃はそれでも、「トレーナーは世を忍ぶ仮の姿なんです。夜な夜な、空に照らされるコウモリマークに応えてバットモービルで街を駆け巡り、たまにはキャットウーマンとデートしちゃったりなんかしてる、ダークナイトが僕の本業でして。人はなぜ堕ちるのか? 這い上がるためです! わはははは」なんて、わけのわからんこと言ってましたが、さすがにバットマンよりも執事のアルフレッド(モーガン・フリーマン、いいですよね)に年が近づいてくると、そのネタも厳しくなってきた次第(切実)。
......あ、結局真面目な解説してないや。となりで筋次郎が待ちくたびれて、プロテイン飲み始めてます。すまん。
では、あらためて。
みなさん、「ファンクショナル・トレーニング」って聞いたことあります? 簡単に言うと、「筋肉じゃなくて動作を鍛える」考え方です。たとえば膝のリハビリでレッグ・エクステンションを一所懸命やったとします。筋力もついてきました。→ 落ちていた筋肉も戻って、脚も元の太さになりました。→ でも、それだけで前とおなじように走ったりジャンプしたり出来るの? レッグ・エクステンションって、座って膝を曲げ伸ばしするだけじゃん! きちんと地面に足をつけて体重を支える"動作"もトレーニングしないとダメなんじゃないの!? とまあ、こういった考え方です。たしかに理に叶ってますし、実際、トレーナー教育においては原理原則の一つとして教えられる概念の一つです。逆に言えば、「ファンクショナル・トレーニング」なんていう名前だけを見て、何か特別なトレーニング方法みたいに考えるのはちょっとちがいますよ、ということです。
で、その「ファンクショナル・トレーニング」の考え方にもとづくと、上半身の"動作"は大雑把に分けて、"押す"エクササイズと"引く"エクササイズのに分類できます。"押す"エクササイズは、文字通り"プレス"や"プッシュ"する、種目。そう、ベンチプレスやショルダープレス、プッシュアップなんかがそれです。このコラムでも紹介してきましたよね。
で、今回は逆の"引く"種目。以前紹介した、チンニング=懸垂もそうですが、今回はもう一つ、ポピュラーなやつです。
では、動画をどうぞ!
(゚Д゚;)!?
な、なんか人間離れした、身体に絵が描いてある方々がいらっしゃいますですね......。
しかも、銀行の特殊金庫みたいなところでトレーニングしてるし、ダンベルのはずがでかいロールケーキみたいになってるし......。さ、375ポンドって、キロに直すと170kgですよ? ちなみに横綱・白鵬の体重が154kgですよ? 片手で横綱持ち上げてるんかい!
とまあ、異世界の扉を開けちゃったっぽいところはありますが、この身体に絵が描いてある(しつこい?)おにーさんがやってる、ダンベルを"引く"トレーニング、ダンベル・ロウが今回のエクササイズです。
ポイントは、
・逆側の手で身体を支えていいので、猫背にならない
・肘が背中の上にくるまで、しっかり引っ張りあげる
・腕ではなく、脇~背中を意識する
・持ち上げるときに、息を吐く
といったところです。チンニングと同じで、特に「腕に頼りすぎない」ことが大事。男性は、逆三角形の身体をつくる広背筋を鍛えることができるので、いつバットマンになってもいいように、しっかりやっておきましょう。
お、話が上手く元に戻りましたな。たまには真面目な解説もしてみるもんです。ねえ、筋次郎? ......って、その見た目で胸にコウモリマーク描いてるんじゃないっ! では、また。チャオ。
コメント:
プッシュアップなどの"押す"エクササイズと比べて、苦手な人の多い"引く"エクササイズのひとつです。きれいにやると、あんなものやこんなものまで引っ張り込める......かもしれません。
強化部位:
広背筋、大円筋、僧帽筋、菱形筋(大菱形筋、小菱形筋)
*筋肉動画図鑑で一つひとつの筋肉を詳しく見ることができます。
<プロフィール>
伊藤謙治(いとう けんじ)
F Fintess Support(www.f-fit.net/)代表。
トレーニングコーチとして現場指導に当たる他、専門誌ライターとしても活動中。CSCS,JATI-ATI。