内藤隆の「筋トレのツボ!」

内藤隆の「筋トレのツボ!」

第2回「動作リズムに変化を加える Part2 スロー法」

≪撮影協力:銀座健康倶楽部


 前回は、日頃行っている筋トレの動きに、「3-1(スリー・ワン)」や「1-3(ワン・スリー)」などの“非等速性”のリズム変化を加えるテクニックをお伝えしました。今回は、“等速性”のリズム変化を取り上げます。

 一般的な筋トレでは、2秒程度で下ろし、2秒程度で持ち上げる「2-2(ツー・ツー)」のリズムが基本ですが、これに等速性のリズム変化を加えてみましょう。例えば、4カウントでゆっくり下ろし、4カウントで持ち上げる「4-4(フォー・フォー)」や、8カウントでじっくり時間をかけて下ろし、8カウントで持ち上げる「8-8(エイト・エイト)」などがあります。

 これらの動きは「2-2」のリズムに比べゆっくり(スロー)な動きになるため、筋肉をより意識的に使って身体をコントロールする(動作スピードが速くならないよう制御する)ことが求められます。導入方法としては、①1セットをとおしてスローで行う方法(例:「4-4」のリズムでスクワットを8回連続で行う。最終セットはスローで行うなど)、②セット終盤にスローを用いる方法(例:「2-2」のリズムでスクワットを7回行い、残り3回を「4-4」で行う。「2-2」で9回行い、最後の1回を「8-8」で行うなど)があります。

 このスローのリズムをトレーニングに用いることには、主に2つのメリットがあります。

 1つ目は、重たいウエイトを用いなくても筋肉に十分な刺激を与えられる点です。自宅や公園で運動する場合、バーベル等の用具がなく、自体重でのトレーニングが中心になることが多くなります。その負荷に慣れてくると、当初に比べてトレーニング効果は得づらくなります。スロー動作によって、トレーニング箇所付近の血流が一時的に制限されやすくなり、身体への刺激が高まります。

 2つ目は、力が発揮しづらい角度をしっかりトレーニングできる点です。スクワットを例に挙げると、膝を直角に曲げた体勢から30°持ち上げるのと、膝を浅く曲げた体勢(おしりの位置が先ほどより高い)から30°持ち上げるのでは、同じ距離を持ち上げるのでも、前者の方が筋肉への負担が大きくなります。通常のトレーニングでは、ある程度のスピードが出ているので、それを感じることは少ないですが、スローの場合は初速を含めた動作スピード全体を抑えるため、力が発揮しづらい関節角度もしっかりトレーニングすることができます。

 実施上の注意点は、①通常の方法より負荷が増すため、動作途中に姿勢やフォームが崩れないようにすること、②弱い角度は無意識で速く動かそうとしてしまうので、一定のリズムを保つこと、③動作中に呼吸を止めてない(力まない)ことが挙げられます。また、前回も述べましたが、1、2、3、4とリズムに合わせて動きがカクカク止めてしまうのではなく、なめらかな動きで行いましょう。

 特にセット終盤は筋肉疲労が増し、動作スピードを上げたくなりますが、そこで良いフォームを保ちながら、ターゲットとしている筋肉を使ってスピードをコントロールすることで、より効くトレーニングとなります。1セットの回数や上げ下げの秒数は、筋力レベルに応じて調整し、無理のない範囲から取り入れてみましょう。


<プロフィール>

内藤 隆(ないとう たかし)

幼児からシニア、初心者からアスリートまで、これまで10,000名以上に運動指導を経験。理論と実践が融合した分かりやすい指導に定評がある。パーソナルトレーナーとして活躍する一方、フィットネスジムのプロトレーナー/プロスタッフ育成、企業における社員の健康増進支援にも数多く携わっている。
・株式会社CSUP 代表取締役
・パーソナルジム「オーワン銀座」代表
・修士(スポーツ科学)、健康運動指導士
・早稲田大学エルダリーヘルス研究所 招聘研究員
・WASEDAウェルネスネットワーク 会員
・明治大学サービス創新研究所 客員研究員

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