内藤隆の「筋トレのツボ!」

内藤隆の「筋トレのツボ!」

第1回「動作リズムに変化を加える Part1 リズムチェンジ法」

≪撮影協力:銀座健康倶楽部


 今回から全12回シリーズで、皆様が自宅やジムで実施しているトレーニングをより効果的にするためのテクニックをお伝えします。これらのテクニックは、私がパーソナルトレーニング指導においてクライアントの運動効果や達成感を高めるために実際に用いているものです。わずかな工夫で身体への効き方が変わることを感じながら、トレーニングを楽しんでください。

 第1回は、「運動リズムの変化」を取り上げます。通常の筋トレでは、2秒程度で下げ、2秒程度で上げるリズムで1セットあたり10~20回程度行うのが一般的です。このリズムを「2-2(ツー・ツー)」と呼びます。日頃慣れているこのペースに変化を加えてみましょう。

 まずは、「3-1(スリー・ワン)」のリズム。スクワット動作を例に挙げます。これまで2カウントで上下していたのを3カウントかけておしりをゆっくり下ろし、1カウントで素早く持ち上げます。この時の注意点は、①3カウントの際に1カウントずつカクカク止まってしまうのではなく、滑らかに動くようにすること、②関節を痛めないために1カウントで素早く持ち上げる際に膝関節をロックしない(強く伸ばしきらない)ことです。

 次のバリエーションは、「1-3(ワン・スリー)」のリズム。1カウントでおしりを素早く下ろして止まり、3カウントかけてゆっくり持ち上げます。回数を重ねると筋肉疲労によってスピードを上げたくなりますが、その気持ちを抑え、スピードをコントロールしましょう。「1-3」は、素早く下ろすため、重たいウエイトを使う種目で行った場合、ケガの危険性がありますので、自体重や軽いウエイトでの種目で行いましょう。

 これら「3-1」、「1-3」などの“非等速性”のリズム変化をトレーニングに加えることには、主に2つのメリットがあります。

 1つ目は、慣れによるトレーニング効果の低減を防ぐことです。トレーニングで同じやり方を続けていると、筋力向上だけでなく、神経系の適応によって、身体への負荷が下がっていきます。私たちが、日常生活で歩行動作をさほど意識せずともまっすぐ歩けるのと同様、同じテンポの動きを繰り返すことで動きは自動化されていきます。リズム変化を加えることで動きの自動化を崩し、筋肉を使って意識的にスピードをコントロールせざるを得ない状況をつくることで、身体により効くトレーニングとなります。

 2つ目は、遅筋(持久力に優れる筋肉)と速筋(瞬発力に優れる筋肉)にバランスよく刺激を与えられることです。年齢を重ねると、瞬発的な動きをする機会が極端に減り、あまり使われない速筋の量および質が低下します。例えば、スクワットで「3-1」のリズムを取り入れ、ゆっくり下ろしてから、床を強く蹴って素早く持ち上げるという動作を行うことで、通常のトレーニング以上に速筋が働き、筋肉量の維持や瞬発的能力の回復につながります。また、3カウントや4カウントのゆっくりとした動作を取り入れることで、身体の持久的能力を高め、疲れづらい身体をつくることが可能になります。

 日頃行っている方法に、「2セット目はリズム変化をつける」や「スクワットの最後の5回にリズム変化をつける」などの変化を加え、身体に一律的でない刺激を与える日をつくることをお勧めします。スクワット以外にも、様々なトレーニング種目にこのテクニックを用いることが可能です。動きに慣れてきた種目にリズム変化を加え、新たな効き方を実感してみてください。


<プロフィール>

内藤 隆(ないとう たかし)

幼児からシニア、初心者からアスリートまで、これまで10,000名以上に運動指導を経験。理論と実践が融合した分かりやすい指導に定評がある。パーソナルトレーナーとして活躍する一方、フィットネスジムのプロトレーナー/プロスタッフ育成、企業における社員の健康増進支援にも数多く携わっている。
・株式会社CSUP 代表取締役
・パーソナルジム「オーワン銀座」代表
・修士(スポーツ科学)、健康運動指導士
・早稲田大学エルダリーヘルス研究所 招聘研究員
・WASEDAウェルネスネットワーク 会員
・明治大学サービス創新研究所 客員研究員

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