内藤隆の「筋トレのツボ!」

内藤隆の「筋トレのツボ!」

第13回「<番外編>トレーニングについて/次号からの執筆者紹介」

 これまで12回にわたり、身体に効くトレーニングのテクニックや種目を紹介してきました。今号は、<番外編>として、私のトレーニングへの考え方を述べさせていただきたいと思います。

1. パーソナルトレーニングについて
 私は、マンツーマン(1対1)でトレーニングを行っていれば、それが「パーソナルトレーニング」になるとは思っていません。誰に対しても同じメニュー、同じアプローチで通り一遍に行っているのであれば、形の上ではパーソナルであっても、最も大切な「個別化(パーソナライズ)」がないので、本質的にはパーソナルトレーニングとは言えません。
 グループエクササイズであっても、その中でひとりひとりに合ったアプローチや声がけが行われていたり、一人でトレーニングしている場合でも、自分自身に合った方法を考え、実行したりしているのであれば、それはパーソナルトレーニングと言えるのではないでしょうか。

2. 個別化(パーソナライズ)について
 トレーニングへのモチベーションを維持したり、トレーニング効果を高めたりするのに大切なことは、目標、性格、身体状態、生活習慣など、ひとりひとりに応じた個別化した方法を考え、実践することです。プロフェッショナルなパーソナルトレーナーを付けることは、その一番の近道です。しかし、全員がパーソナルトレーニングを受けられる環境にある訳ではありませんので、トレーニングや健康づくりのための取り組みをより個別化して考えるためのツールを提示します。

 図1は、時間管理で用いられる表を改変したものです。目指す姿(目標)をできるだけ具体的に書き、それを達成するために①「減らす」行動、②「増やす」行動、③「なくす」行動、④「置き換える」行動を考えて記入してみましょう。最初から完璧なものは作れませんが、自分の現状や習慣を客観的に振り返り、目標を達成するための具体的な行動まで落とし込むことで(もちろん実践が大切!)、これまで以上に自分に合った方法を見つけるきっかけになるのではないでしょうか?

図1 目標達成のための行動計画表
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3. トレーニングについて
 トレーニングを行うのには、「見た目を良くしたい」、「体力をつけたい」、「運動不足を解消したい」などの目的があると思います。トレーニングは、①「体力」(筋力、スタミナ)、②「体型」(なりたいスタイル)、③「体軸」(バランス、動きの巧みさ)の3つすべてにアプローチすべきと私は考えています(図2)。つまり、トレーニングや食事管理で身体が引き締まったとしても、筋力やスタミナが落ちていたり、また筋肉がついても、身体のバランスが崩れ、力づくで重りを上げ下げしたりするのでは、トレーニングの意義は薄れるのではないでしょうか?
 「体力」、「体型」、「体軸」の3つに統合的にアプローチするために、筋トレだけ、エアロビだけ、ヨガだけでなく、多様な運動を取り入れましょう。例えば、ジムでトレーニングする場合、ウォームアップ後にバランストレーニングを行い、次に前後左右の身体バランスを意識しながら筋トレ、終盤に有酸素運動でスタミナを高め、最後にクールダウンを行うというやり方があります。

図2 トレーニングの統合的アプローチ
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4. トレーニングを継続するために
 運動を続けることは、そう簡単なことではありません。ある研究では、「半年間で50%の人が運動プログラムから脱落する」ことが示されています。はじめはモチベーションが高かったのに、だんだんモチベーションが下がり、やめてしまったという経験は、誰もがお持ちだと思います。トレーニングを習慣化するためには、どうすればよいのでしょうか?
 そのヒントとなるのが、チクセントミハイが提唱するフロー理論の「日常体験の図」(図3)で、人の感情がどのように変化するかを示しています。図の横軸はスキルレベル、縦軸はチャレンジレベルです。この図から分かるとおり、人はスキルレベルが高い状態になると、満足や自信を感じやすい状態になります(図の右側)。その最たるものが、時間経過を忘れ、物事に没頭する「フロー」です(図の右上)。
 反対に、スキルレベルが低いままだと無気力、ストレスを感じやすい状態になります(図の左側)。この状態のまま、行動を長続きさせることは難しいでしょう。また、スキルが平均レベルに近づいても、チャレンジが低いままでは退屈な状態となり、同様に長続きしません。
 トレーニングを継続するには、スキルを高める努力をしつつ、適度に難しいチャレンジをしていくこと(例えば、新しい種目やプログラムにチャレンジするなど)が大切です。スキルを高めるには、プロのトレーナーから教わったり、苦手な動きを自主練習してみたり、上級者の動きを観察して真似してみたり、書籍等でポイントを調べて試してみたりすることが挙げられます。目標のために、ただ漠然と身体を動かすのではなく、スキルを高めるようにぜひ取り組んでみてください。

図3 日常体験の図
(『フロー体験とグッドビジネス』p90より転載)
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 これまでのご愛読に心より御礼申し上げます。次号からの連載は、スポーツ栄養士の山田聡子(やまだ あきこ)さんが担当します。山田さんは、私がサッカー実業団で働いていた時に一緒にチーム&選手をサポートしていた仲間です。その後も、トップアスリートや医療分野での栄養サポートに取り組まれ、活躍されています。身体づくりには、運動と同じくらい、栄養が大切です。ぜひ、山田さんの連載で食事のポイントを知り、実践していただければと思います。

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メールアドレス:takashi@roundflat.jp

<プロフィール>

内藤 隆(ないとう たかし)

幼児からシニア、初心者からアスリートまで、これまで10,000名以上に運動指導を経験。理論と実践が融合した分かりやすい指導に定評がある。パーソナルトレーナーとして活躍する一方、フィットネスジムのプロトレーナー/プロスタッフ育成、企業における社員の健康増進支援にも数多く携わっている。
・株式会社CSUP 代表取締役
・パーソナルジム「オーワン銀座」代表
・修士(スポーツ科学)、健康運動指導士
・早稲田大学エルダリーヘルス研究所 招聘研究員
・WASEDAウェルネスネットワーク 会員
・明治大学サービス創新研究所 客員研究員

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