内藤隆の「筋トレのツボ!」

内藤隆の「筋トレのツボ!」

第4回「停止動作の活用① ポーズ法」

≪撮影協力:銀座健康倶楽部


 今号と次号にわたって2つの停止動作のテクニック――①「ポーズ(一時停止)法」、②「ストップ(停止)法」――を紹介します。

 ①「ポーズ法」は、上下運動を伴う筋トレ種目において、下で動きを一旦(0.5秒程度)止めてから持ち上げることでトレーニング強度を高める方法です。

 スクワットを例に説明します。一般的なスクワットは、2秒程度でおしりを下げ、2秒程度で持ち上げる動作を繰り返し、身体を動かし続けます(切り返し時にスピードが一旦ゼロになるので、正確には動作が止まりますが、意識レベルでは身体を動かし続けていると言えるでしょう)。ポーズ法を用いる場合は、おしりを下げたポジションで0.5秒程、一時停止してから持ち上げる動作で行います。通常のスクワットに比べ、持ち上げる時に強い力が必要となり、大腿や臀部により効いているのが実感できます。

 このテクニックを用いるメリットは、反動を使った動作を防ぎ、自体重や軽いウエイトでもターゲットの筋肉に十分な刺激が与えられる点です。筋肉は、素早く引き伸ばされると元の長さに戻ろうという性質(伸張反射)があります。そのため、素早くウエイトを下ろした場合は、伸張反射等の働きにより、反動をつけない場合と比べ、ウエイトを楽に持ち上げることができます。

 反動をつけて動作しているつもりがなくても、少しでも身体への負荷を減らそうと、切り返し時に動作が早くなりがちです。ポーズ法を用いることで、持ち上げ動作時に強い力の発揮が必要となり、筋肉により大きな刺激を与えることが可能になります。

 普段はベンチプレス(胸&上腕の筋トレ)で80kgのウエイトで楽に上げ下げできる方でも、ポーズ法を用いて、バーを胸の近くで一旦止めてから持ち上げる動作で行うと、往々にして数回しか上がらなくなります。最近慣れてきて、あまり効果が実感できなくなってしまったトレーニング種目で、ポーズ法を活用してみてください。例えば、腕立て伏せの場合、胸が床に近づいたところで0.5秒程止めてから持ち上げると負荷が格段に高まります。

 実施上の注意点は、一時停止後に持ち上げる際、フォームが崩れないようにすることです。特に背中の丸まりや腰の反りが発生しやすいため、良い姿勢を保つことを心掛けましょう。フォームが崩れてしまう場合は、負荷が強すぎるのでウエイトを軽くしたり、関節を曲げる角度を浅くしたり調整してください。すべてのトレーニング種目でポーズ法を用いる必要はありません。慣れてきた種目や今日は特にここを効かせたい!という種目で活用してください。

次号は、もうひとつの停止動作テクニック②「ストップ法」についてお伝えします。お楽しみに。


<プロフィール>

内藤 隆(ないとう たかし)

幼児からシニア、初心者からアスリートまで、これまで10,000名以上に運動指導を経験。理論と実践が融合した分かりやすい指導に定評がある。パーソナルトレーナーとして活躍する一方、フィットネスジムのプロトレーナー/プロスタッフ育成、企業における社員の健康増進支援にも数多く携わっている。
・株式会社CSUP 代表取締役
・パーソナルジム「オーワン銀座」代表
・修士(スポーツ科学)、健康運動指導士
・早稲田大学エルダリーヘルス研究所 招聘研究員
・WASEDAウェルネスネットワーク 会員
・明治大学サービス創新研究所 客員研究員

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