内藤隆の「筋トレのツボ!」

内藤隆の「筋トレのツボ!」

第3回「動作角度に変化を加える ~アングルチェンジ~」

≪撮影協力:銀座健康倶楽部


 今回は、動作角度を変える3つのテクニック――①「ノンロック」、②「ディープアングル」、③「シャローアングル」―― について順に説明します。

 ①「ノンロック」は、関節を伸ばしきらないことを意味します。スクワットを例に説明します。基本的なスクワットは、まっすぐ立った姿勢(スタートポジション)から膝が直角になるまでお尻を下ろし(エンドポジション)、そこからスタートポジションに戻る動作を繰り返します。ノンロックは、スタートポジションに戻る際に、膝および股関節を敢えてまっすぐまで伸ばさず、やや曲がった(10~15°程度)ポジションで止めます。関節を伸ばしきると、スクワットでターゲットとしている大腿部や臀部の筋肉の緊張が一旦緩んでしまいますが、ノンロック(関節を伸ばしきらない)にすることで筋肉の緊張が保たれるため、筋肉により大きな刺激を与えることができます。通常のトレーニング方法はもちろん、前回紹介したスロー法でもノンロックのテクニックを使うことでトレーニング効果が著しく高まります。

 ②「ディープアングル」は、セット後半の数回の動作角度を限定する方法で、①「ノンロック」をより強くした方法です。例えば、スクワットを15回やる内の10回目まではノンロックでスクワットを行い、ラスト5回は下から通常の半分程度の角度だけ持ち上げ、再び下ろす動作をゆっくり繰り返します。これにより、大腿部の筋肉の無酸素状態が一気に高まり、大腿の筋肉がカーッと熱くなっていく感覚が出現します。ディープアングルのテクニックを使うことで、自体重や軽重量の負荷でも筋肉に強い負荷をかけることができます。フォーム崩れやケガの危険性もあるので、いきなり高重量で実施するのは避けてください。

 ③「シャローアングル」は、セット後半の数回の動作を浅い角度に限定する方法です。例えば、80kgのウエイトを担いでスクワットを行う場合、回数を重ねるごとに筋肉の疲労度が高まり、段々と持ち上げづらくなります。何とか10回は上げたものの、もう1回同じところまで下げてから持ち上げるのは難しそうな状況です。ウエイトを戻して休憩に入るのが通常ですが、シャローアングルでは、浅い角度(通常の1/2~1/3程度)まで下ろしから持ち上げる動作を数回繰り返していきます。深い角度から持ち上げることは難しい場合でも、浅い角度であれば動作を続ける余力が残っているのです。このテクニックを用いることで、ターゲットとする筋肉全体に万遍なく負荷がかかり、効果的にオールアウト(全力を出し切る)することができます。

 今回紹介したテクニックは、スクワットに限らず様々な種目で用いることができ、短時間で密度の高いトレーニングを実現する助けになります。しかし、②、③については、多用しすぎるとトレーニングそのものがオーバーワーク(やり過ぎ)になる危険性がありますし、トレーニング冒頭からこのテクニックを使ってもいきなり疲労困憊になり後のトレーニングに身が入らなくなります。「今日のトレーニングはここがピーク!」という、ここぞという場面で活用してみてください。


<プロフィール>

内藤 隆(ないとう たかし)

幼児からシニア、初心者からアスリートまで、これまで10,000名以上に運動指導を経験。理論と実践が融合した分かりやすい指導に定評がある。パーソナルトレーナーとして活躍する一方、フィットネスジムのプロトレーナー/プロスタッフ育成、企業における社員の健康増進支援にも数多く携わっている。
・株式会社CSUP 代表取締役
・パーソナルジム「オーワン銀座」代表
・修士(スポーツ科学)、健康運動指導士
・早稲田大学エルダリーヘルス研究所 招聘研究員
・WASEDAウェルネスネットワーク 会員
・明治大学サービス創新研究所 客員研究員

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