こんにちは。スポーツトレーナーの長谷川です。
今回はバレーボールに多い障害をいくつかご紹介致します。
1つ目は膝蓋腱炎・膝蓋靭帯炎(ジャンパーズニー)です。
大腿四頭筋をはじめとする膝関節伸展機構へのストレスによる腱部の微細損傷の繰り返しにより疼痛が発生するスポーツ障害になります。
好発部位としては膝蓋骨下端の膝蓋腱結合部が一番多く、大腿四頭筋総腱の膝蓋骨付着部にも疼痛は出現します。
スパイク、ブロックなどのジャンプ・着地動作、レシーブ姿勢・動作などバレーボールには膝関節にストレスが掛かる局面が多くあり、衝撃ストレスだけではなく、アライメントの崩れ、筋の過緊張による柔軟性の低下など、慢性的な症状を抱えることになります。
障害の程度として、
レベル1 運動後のみの疼痛、機能障害なし
レベル2 運動中、運動後の疼痛はあるが、満足できる活動が可能
レベル3 運動町、運動後に長引く疼痛があり、満足のできる競技レベルを保てない
レベルが上がるほど、重症度はあがります。
また、腸腰筋の緊張が強くなると股関節の屈曲、腰椎の前彎が強くなり、身体を起こす動作がやりにくくなります。膝関節部が前に出やすく大腿四頭筋の筋緊張が高まることで、膝蓋靭帯部へのストレスは増大。疼痛は出やすくなります。
以下の2つの写真は要注意の状態です。
ジャンパーズニ―の予防の為の柔軟性の指標は臀部と踵がストレスなくピタッと着く。
写真のようにいつどんな時も臀部と踵が着くようにストレッチを欠かさず行いましょう。
2つ目は肩の障害です。
バレーボールにおける肩の障害のほとんどがオーバーユースによるものです。
スパイク動作は空中でボールを打つ動作になります。足部が床と設置していない為、不安定な状態で動作を行う。トスとジャンプ、スパイク動作のタイミングが一定ではない。ボールをたたく瞬間は動きを止める動作となり、流れる投球動作とは違って、肩関節部への衝撃は大きくなり、スイング動作もストレートコース、クロスコースの打ち分けなど一定を保たない(保てない)為に肩関節部へは様々なストレスが掛かります。
皆さんゼロポジションはご存知ですか?
肩甲骨の棘突起と上腕骨の長軸が一致、肩関節周辺の筋張力が均等になるポジション。肩関節水平屈曲30°前後、外転135°~155°程度上げるとゼロポジションになると言われています。
簡単な確認方法は、腕を頭の後ろで組み、そのまま腕を伸ばすとゼロポジションになります。
野球の投球動作など、このポジションで投げる事が推奨されています。バレーボールのスパイクもこのゼロポジションが肩関節のストレス軽減の為には必要かもしれませんが、高い所でたたく、身体のバランスを崩さずに打つことを意識するとこのポジションは崩れてしまいます。
その為、腱が徐々にストレスを受けることで肩関節周囲炎・腱板炎、肩関節過外転の衝突ストレスによるインピンジメント症候群、腱板(ローテーターカフ)損傷などを引き起こしてしまいます。
バレーボール選手の腱板はとてもルーズな状態になっており、レシーブ姿勢など肩関節が前に出やすい姿勢になることも肩関節に障害が起こりやすくなる原因となります。
Vプレミアリーグの選手達で1セットあたり平均10~15本、試合展開、ポジションによっては25~30本近いスパイクを打ちます。1試合3~5セットですので計算するとかなりの本数になりますね。
バレーボールプレーヤーにとって膝、肩の障害対策は必須となります。ではどうしたら良いでしょうか?
そのポイントは・・・次回バレーボールに多い障害とその予防②でお伝えします。
バレーボールに多い障害のひとつにジャンパーズエルボーがある。〇か×か?
答えは×です。ジャンパーズエルボーではなく、ジャンパーズニーですね。
<プロフィール>
長谷川 賢宏(はせがわ たかひろ)
柔道整復師
了徳寺学園医療専門学校卒業
21歳の時にこの道を志し、師と仰ぐ先生に出会いトレーナーの一歩を踏み出す。
フリーランスでスポーツクラブパーソナルトレーナー、サッカー、バスケットボールチームのフィジカル・コンディショニングコーチを行ないながら、スポーツトレーナーとしての経験を積む。医療資格取得後、鍼灸接骨院運営、スポーツトレーナー派遣を行っている有限会社ケッズグループに入社、現在は代表取締役として、選手、患者様のサポート、後任の指導、育成に力を注いでいる。
主な経歴
2012ロンドンオリンピック ビーチバレー男子日本代表チーム トレーナー
2015ユニバーシアード光州大会 バレーボール男子日本代表チーム トレーナー
日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ(医・科学サポートスタッフ)
その他、高校、大学など育成年代のサッカー、バレーボール、バスケットボールチームのサポートを行う
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