今週の窓

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第21回 栄養 「甘い誘惑、フルーツの秋」

 毎年秋ごろから、体重の増加とともに血糖コントロールも悪化・・・という方も少なくないだろう。
 8月の終わりあたりから、梨に始まり、柿、りんご、ぶどう、みかん等々。日本列島の旬を満喫、といったところか。
 袋入りではなく、箱の場合もある。
 致し方ないという体もあるが、そうは問屋はおろさない。

 果物には、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、塩分や脂肪はほとんど含まれていない。
 健康なイメージが強いだろう。野菜と同じではないか?
 ここで忘れてはいけないのは、果物には糖質がもれなくついてくる事だ。
 果物の果糖は、砂糖を構成する成分で、糖類の中でも最も甘味が強いといわれている。


 はちみつにも、果糖は多く含まれている。
 はちみつは、ブドウ糖と異なる生理作用があり、血糖があがりにくい糖ともいわれている。
 ここだ。都合のよい糖に思われがちだが、果糖はブドウ糖より、脂肪になりやすい、太りやすい糖なのである。

 最新の研究で、果糖飲料を飲んだ時の方が、ブドウ糖飲料を飲んだ時に比べて空腹感が大きい事が示されている。
 自分が思った以上に、量を食べやすいという事である。
 そしてあまった果糖は、内臓の脂肪へ変わり、血液中の中性脂肪が増え、体重とともに、血圧も急上昇し、メタボリックシンドロームへの階段を、ものの見事に昇っていく。

 これから実りの秋を迎える。
 太古の時代は、果糖はこの時期だけに、大量に手に入るものだったのかもしれない。
 食べ物が乏しくなる冬に備えて、身体に脂肪を効率よく蓄えるための手段だったのだろう。
 でも、現在は・・・という事である。
 甘味は依存性をもつといわれている。
 そんな誘惑に、身も心も奪われてしまわないように。


<プロフィール>

小山 幸子 (こやま さちこ)

東京在住。
高校卒業後、国産車カタログ製作会社に8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。
15年間の病院勤務を経て、2014年よりフリー。
現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等の活動をしている。
『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。
メカオンチのあがり症。趣味は書道。
管理栄養士・西東京糖尿病療養指導士・毎日書道会会友(雅号:小山 桃花)



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