筋肉栄養学

筋肉栄養学

第3回 たんぱく質の必要量

 たんぱく質の必要量を検討するには、何通りかの方法があります。
 生体は、たんぱく質を摂取しない時でも窒素化合物として、一定量を、常に尿・便・皮膚などから排泄しています。
 このことを、不可避窒素損失量といいます。
 1つはこの量を、良質たんぱく質で補うとき、必要とする最小量を検討する要因可算法です。
 もう1つは、窒素出納法から窒素平均維持量を求めることで、食事たんぱく質としての必要量を知る出納法です。
 現在は、後者の方で求められています。
 日本人の食事摂取基準2015では、
 成人のたんぱく質維持必要量は0.65kg/kg体重/日
 (104mg窒素/kg体重/日)になっています。
 高齢者は0.85kg(136mg窒素)と、別途検討した量としています。
 kg体重(体重1kgあたり)とは、現在の体重とは異なります。身長(m)×身長(m)×22の標準体重を使います。
 スポーツを考えた場合、エネルギーあたり何%をたんぱく質量でという考え方ではなく、体重1kgあたりで考えるのが主流です。
 活発に活動をしていない方(普通):0.8g/kg体重/日。
 持久性トレーニングを行っている方:1.2-1.4g/kg体重/日。
 断続的な高強度トレーニングを行っている方:1.4-1.7g/kg体重/日。
 を目安としています。
 持久性の場合は、分岐鎖アミノ酸が使われるので、1時間程度なら、普通の量でいいとされています。
 1時間以上~フルマラソンで、1.2-1.4gと考えます。
 断続的な高強度の方は、筋肉肥大の維持も含めても、普通の倍は必要ないだろうと考えます。
 たんぱく質が過剰になると、体内では保持できないので尿中の尿素が上昇することになります。
 尿素回路をぐるっとまわって、有毒なアンモニアを無毒な尿素に作る仕事は肝臓、排泄されるのは腎臓です。
 尿素はたんぱく質の代謝産物なので、食事中のたんぱく質量によって変わってきます。過剰になると、それを排泄させるために、腎臓の糸球体に過剰な負担がかかる・・・ということです。
 文句もいわず黙々と作業し、身体に異変を感じた時には、手遅れになることが多いのが、生活習慣病の特徴です。

 筋肉はバームクーヘンのように、何度も何度も薄く重ねて、作り上げていくことで、できていきます。
 そして身体を、何年もかけて作り上げていきます。
 そのように毎日薄いものを繰り返し作る時に、
 ためておけない大量のたんぱく質が必要なのか、ということです。
 日々の積み重ねとバランスが重要なのです。
 そして、エビデンスも日進月歩で変わっていきます。
 ロッキーが飲んだ生卵5個のたんぱく質は、卵の大きさを考えると1個あたり5.9g-7.1g。
 これが5個なので、29.5g-35.5g。
 エネルギーにすると、360-440キロカロリーといったところでしょうか。
 そして、食塩相当量はちょうど1.0g。
 味をつけていなくても、しっかりと含まれているのです。

 目の前のデスクの書類が積み重なっているのは筋肉ではなく、体脂肪かもしれません。
 身体もデスクもスッキリできるきっかけに、
 ひと役かいたいと願うばかりです。


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メールアドレス:column@roundflat.jp

<プロフィール>

小山 幸子 (こやま さちこ)

東京在住。
高校卒業後、国産車カタログ製作会社に8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。
15年間の病院勤務を経て、2014年よりフリー。
現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等の活動をしている。
『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。
メカオンチのあがり症。趣味は書道。
管理栄養士・西東京糖尿病療養指導士・毎日書道会会友(雅号:小山 桃花)

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