内藤隆の「筋トレのツボ!」

内藤隆の「筋トレのツボ!」

第6回「より良いフォームをつくるためのテクニック ~ターゲット法~」

≪撮影協力:銀座健康倶楽部


 筋トレで効果を得るためにはフォームがきわめて重要です。正しいフォームで動作できていれば、ターゲットとする筋肉への効き目は高まりますが、逆に乱れたフォームで行うと、十分なトレーニング効果を得られないだけでなく、悪い姿勢のクセがついてしまいます。

 パーソナルトレーニングを受けるメリットのひとつは、動作姿勢をトレーナーが様々な角度から観察し、改善のフィードバックを得られることです。しかし、ひとりでトレーニングを行っていると自分の動きを客観視できず、何となくフォームを意識するというレベルになってしまうのではないでしょうか?そこで、ひとりで行うトレーニングで、より良いフォームをつくるための方法を紹介します。

 ターゲット法は、筋トレ動作において、物(イス、バランスボール、タオルなど)を標的として用いることで、より良いフォームをつくるテクニックです。

 スクワットを例に説明します。スクワットには、膝が直角になるまで下ろすハーフスクワット、大腿が床と平行になるまで下ろすパラレルスクワット、脚を通常よりも大きく広げるワイドスクワットなどがあります。フォームの主なポイントは、(1)おしりを下げた時に、膝がつま先よりも前に出ないようにする(膝を痛めないため、おしりの筋肉もしっかり使うため)、(2)膝を曲げるだけでなく、おしりをしっかり下ろすこと、(3)目線は正面に向け、胸をやや張った状態で、腰と背中が丸まらないようにする、などが挙げられます。

 しかし、これらすべてのポイントを頭で考えながら動作すると、動きがぎこちなくなりますし、つま先が膝より前に出ていないかチェックしようとうつむくことで、腰や背中の丸まりが出たりしてしまいます。また、鏡を見たとしても正面の姿しか見られないため、おしりがしっかり下まで下がっているかなどは確認しづらい項目です。

 そこでお勧めなのが、イスや台など適当な高さの物を見つけ、おしりを運びたい位置と座面が同じ高さになるように置き、おしりが台座に触れたら持ち上げるようにすることで、身体をどこまで動かすかを視覚ではなく触覚によって明確にする方法です。それにより、一度に多くのフォームのポイントを考える作業から開放され、動作により集中することができます。

 他にも、ランジ(脚を前後に開いて行うスクワット)を行う際、床にタオルを折りたたんでセットし、膝がタオル(ターゲット)に触れるまでしっかりおしりを下ろすようにすることで、良いフォームをつくり、より筋肉に効く動作を行うことができます。腕立て伏せでも、ここに触れるまで胸を下げるという目印をクッション等でつくることで、より効果的なトレーニングになります。

 ターゲット法から離れますが、スマホの動画撮影機能を使い、正面、横、後ろから自分のフォームを撮影し、チェックしてみるのも非常に有効です。「左右の動きがずれている」、「自分が思っているよりおしりが下がっていない」など多くの気づきが得られるでしょう。

 自分のフォームを客観的に見ることは難しいので、ターゲット法やビデオ撮影なども用い、一度、フォームをチェックしてみることをお勧めします。トレーニングに慣れた方も、数センチや数度など、わずかな調整を行いながら、より良いフォームづくりを目指してください。


<プロフィール>

内藤 隆(ないとう たかし)

幼児からシニア、初心者からアスリートまで、これまで10,000名以上に運動指導を経験。理論と実践が融合した分かりやすい指導に定評がある。パーソナルトレーナーとして活躍する一方、フィットネスジムのプロトレーナー/プロスタッフ育成、企業における社員の健康増進支援にも数多く携わっている。
・株式会社CSUP 代表取締役
・パーソナルジム「オーワン銀座」代表
・修士(スポーツ科学)、健康運動指導士
・早稲田大学エルダリーヘルス研究所 招聘研究員
・WASEDAウェルネスネットワーク 会員
・明治大学サービス創新研究所 客員研究員

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