長谷川賢宏の「スポトレのツボ!」

長谷川賢宏の「スポトレのツボ!」

第10回 応急処置のツボ~怪我した時の〇〇~

 こんにちは。スポーツトレーナーの長谷川です。
 今回は応急処置のツボ~怪我した時の〇〇です。

 〇〇の1つ目は、評価です。怪我の適切な処置を行う為には評価が必要になります。
 評価の手順は1次評価(緊急性の評価)心肺停止、意識消失、頭部・頸部外傷、大出血などがあり、緊急性がある場合は救急病院への搬送が必要になり、緊急事態がなければ2次評価(外傷、障害評価)に進みます。

 HOPSSはご存知ですか?スポーツ現場における評価法のひとつです。

 H(History・聴取)
 医師が行う問診になります。受傷機転や主訴を確認します。力を受けた方向、音が鳴ったかなど外傷、障害の判断を行う為に必要な事を出来る限り確認します。

 O(Observation・観察)
 医師が行う視診になります。変形、腫脹、変色、創の有無などを確認します。その際、健側(怪我をしていない方)との比較も行います。

 P(Palpation・触察)
 医師が行う触診になります。圧痛や熱感、部位の特定を行います。健側比較、受傷部位は最後に触るなど過剰なストレスが掛からないように確認していきます。

 S(Special Test・特殊検査)
 外傷や障害を判断するための検査となり、動揺性の検査や、痛みの誘発検査などがあります。正確なテスト法の理解と実践が必要になります。

 S(Stress Test・負荷検査)  受傷部位に負荷を掛ける事が安全だと判断された場合、可動域、筋力、動きに伴う痛みの評価をします。

 この他にも、受傷直後の評価にSALTAPSなどがあり、スポーツの現場では怪我が起きてしまった場合、まずは現場で対応しているトレーナーがこれらの確認を行い、評価の上で適切な処置、医療機関への受診、リハビリ、競技復帰への道筋を考えます。

 〇〇の2つ目は、処置です。
 RICEは聞いたことがあると思います。

 R(Rest・安静)
 運動を中止することで全身の循環を抑え患部への血流量を抑えます。

 I(Ice・冷却)
 炎症によって過剰に高まった局所の熱感を下げることにより、2次的低酸素症を抑制させます。

 C(Compression・圧迫)
 損傷した細胞や毛細血管から細胞液や血液が漏出する現象(内出血)を抑えます。

 E(Elevation・挙上)
 心臓より高く上げることで物理的に患部への血流を緩やかにし、患部からの静脈の流れを促進します。

   怪我による影響
   アイシングの目的と効果
   RICE処置は急性期の炎症症状が出ている時に行います。

 炎症の5徴候=発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害

 24時間~72時間(怪我の程度によって変わります)は炎症が出やすい時期なので怪我をしてしまった際はこの処置を行います。

 RCEは常に継続しながら、15~20分位のアイシングを1~2時間おきに行うサイクルが理想的です。寝ている間はRCEですね。

 またアイシングはスポーツ障害を防ぐためにも活用ができます。スポーツ活動は痛みを感じない程度の微細な損傷を身体に残します。その積み重ねがスポーツ障害(慢性症状)に繋がります。
   痛みを感じなくてもスポーツ活動によってストレスを掛けた部位(足首・膝・肩・肘など)はC-DOWNの後に15分程度のアイシングを1セット行いましょう。その後は疲労回復作業になります(第9回参照)
 注)冷却刺激を加えると、アレルギー反応や、循環障害、寒冷蕁麻疹を起こすケースがまれにあります。その場合は、アイシングは控えて下さい。

 ベストな状態を目指し続けながらも、万が一怪我をしてしまった場合には、早期復帰の為にも正確な評価、処置、診断が重要になります。

 慢性障害の予防、急性症状の処置として是非覚えて置いて下さい。

 次回はトレーニングのツボ~なぜトレーニングは必要なの?~をお届けします。

 アイシングは急性症状にも慢性症状にも活用できる 〇?×?

 答えは〇です。応急処置だけではなく怪我の予防の為にも活用してみましょう!


<プロフィール>

長谷川 賢宏(はせがわ たかひろ)

柔道整復師
了徳寺学園医療専門学校卒業
21歳の時にこの道を志し、師と仰ぐ先生に出会いトレーナーの一歩を踏み出す。
フリーランスでスポーツクラブパーソナルトレーナー、サッカー、バスケットボールチームのフィジカル・コンディショニングコーチを行ないながら、スポーツトレーナーとしての経験を積む。医療資格取得後、鍼灸接骨院運営、スポーツトレーナー派遣を行っている有限会社ケッズグループに入社、現在は代表取締役として、選手、患者様のサポート、後任の指導、育成に力を注いでいる。

主な経歴
2012ロンドンオリンピック ビーチバレー男子日本代表チーム トレーナー
2015ユニバーシアード光州大会 バレーボール男子日本代表チーム トレーナー
日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ(医・科学サポートスタッフ)
その他、高校、大学など育成年代のサッカー、バレーボール、バスケットボールチームのサポートを行う


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