こんにちは。スポーツトレーナーの長谷川です。
東京の大イベント、東京マラソンまであと16日。参加される方はドキドキ、ワクワクされていると思います。
今回はマラソンに多い障害として、ランナーズニー(腸脛靭帯炎)をお話します。
腸脛靭帯は腸骨稜に発し、脛骨Gerdy結節に至る靭帯です。
大腿筋膜張筋、大殿筋浅層と接しており、腸脛靭帯の停止部は両筋の停止部となっています。
大腿筋膜張筋の働きは主に、股関節の外転、屈曲、内旋、膝関節の伸展、大殿筋の働きは股関節の伸展(特に屈曲位からの伸展)、外旋、膝関節の伸展の役割があります。
ランナーズニーの痛みは膝の外側に現れます。
腸脛靭帯と大腿骨外側上顆との間で膝の屈伸に際して擦れ合い摩擦を引き起こすのが原因となり(※摩擦に関しては諸説あり)
腸脛靭帯と骨膜が直接刺激されるか、外側上顆直上の関節包に炎症が生じ発症します。
O脚に多いとされており、ランニング時の下腿の内旋、足の小指側からの接地によりストレス増大となり、疼痛を誘発します。
アライメント不全により、ニーイン、トゥアウト(第3回参照)のような状態でも荷重の掛かり方により症状が出る場合もあります。
症状として、
第1段階 動き出しは違和感、痛みがあるが、筋温の上昇に伴い気にならなくなる
第2段階 動き出しに違和感、痛みがあり、我慢できるが、ランニングの継続により徐々に痛みが強くなる
第3段階 日常生活でも痛みがでる
第1段階はセルフケアで解消される可能性があります。第2段階は運動の継続は出来ますが医療専門家の処置、治療をお勧めします。第3段階は運動の中止、医療専門家の処置、治療が必要です。
予防、症状の改善にはサッカー、バレーボールのツボでお伝えした足底、膝関節、股関節のバランス、アライメントを整える事がポイントになります。
今までのトレーニングに加え、ランナーズニーの予防、改善の為のトレーニング、ストレッチをご紹介します。
下腿のストレッチ
片足膝立ちでの、下腿深部筋を緩めるストレッチになります。足部の荷重が悪く、内外側どちらかに体重が掛かる癖がある方は内外側でストレッチの感覚が変わります。緊張バランスを整えるためにもつま先と膝の向きを意識してまっすぐ体重を掛けましょう。体重移動をすることでストレッチの場所がやや変わります。硬さの感じる部位を重点的に行いましょう。
大腿筋膜張筋のストレッチ
外側に出した膝の上に反対側の足を乗せ、ゆっくりと後ろに倒れます。出来る方は、背中が床に着くまで倒れましょう。その際にお尻が浮いてしまう方はお尻が浮かない程度に身体を倒します。
臀部のストレッチ
片足は胡坐を崩し、片足は正座を崩した姿勢をとります。太ももを抱えるように、正面、外側、内側の3方向に倒しましょう。大きな殿筋を万遍なく伸ばします。
その他に、足を引っかける、膝を抱える動作も臀部のストレッチになります。
大腿部外側のストレッチ(前)
横向きになり、上にある足首を掴み、膝を曲げます。その際に踵を下側のお尻に付けるように曲げることで大腿部前外側部のストレッチになります。
大腿部外側のストレッチ(後)
片足を伸ばして座ります。つま先をやや外側に傾け、身体を前に倒して伸ばします。膝の裏が突っ張ってしまい痛みが出る方は、膝をやや曲げて行いましょう。
各ストレッチは20~30秒を3セットずつ、お風呂上りなどにリラックスしながらゆっくり行いましょう。
続いて股関節外旋筋群のトレーニングです。
ラテラルエクスターナルローテーション
膝関節約90度、肩、腰、足首がまっすぐになるように横向きになります。そこからお皿がまっすぐ上を向くように足を開きます。
開いたときにも身体をまっすぐ保つように意識しましょう。
プローンポジションエクスターナルローテーション
うつ伏せの状態で床から10㎝程度足を上げます。そのまま股関節、膝関節90度まで曲げる動作と、足を伸ばす動作を繰り返します。曲げ伸ばしの動作は床に付けずに行い、膝関節と足関節は床と平行に、足を引き付けた際にお尻は浮かないようにしましょう。
各トレーニングは15回~20回、3セットを目安に行いましょう。
ストレッチとトレーニングでランナーズニーの予防、症状改善、下肢アライメントを整えましょう。
次回は靴のツボ~紐?あなたの結び方は?~をお届けします。
ランナーズニーの痛みは膝の内側にでる 〇?×?
答えは×です。ランナーズニーの痛みは膝の外側に現れます。膝の外側に違和感を感じる前に是非予防に努めて下さい。
<プロフィール>
長谷川 賢宏(はせがわ たかひろ)
柔道整復師
了徳寺学園医療専門学校卒業
21歳の時にこの道を志し、師と仰ぐ先生に出会いトレーナーの一歩を踏み出す。
フリーランスでスポーツクラブパーソナルトレーナー、サッカー、バスケットボールチームのフィジカル・コンディショニングコーチを行ないながら、スポーツトレーナーとしての経験を積む。医療資格取得後、鍼灸接骨院運営、スポーツトレーナー派遣を行っている有限会社ケッズグループに入社、現在は代表取締役として、選手、患者様のサポート、後任の指導、育成に力を注いでいる。
主な経歴
2012ロンドンオリンピック ビーチバレー男子日本代表チーム トレーナー
2015ユニバーシアード光州大会 バレーボール男子日本代表チーム トレーナー
日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ(医・科学サポートスタッフ)
その他、高校、大学など育成年代のサッカー、バレーボール、バスケットボールチームのサポートを行う
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