長谷川賢宏の「スポトレのツボ!」

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第5回 バレーボールのツボ ~バレーボールに多い障害とその予防②~

 こんにちは。スポーツトレーナーの長谷川です。
 今回はバレーボールに多い障害の予防の為のエクササイズをいくつか紹介致します。重要な考え方はスタビリティ&モビリティです。

 赤いマークが安定させる部位、青いマークが動かしやすくする部位です。第2回の記事に記載したアライメントを整える、身体の軸(ボディバランス)を意識する、コントロールする。これらを理解した上でトレーニングを行うと、トレーニングの部位や、目的を意識しやすくなります。

 ①トゥレイズ&カーフレイズ

 座位、又は立位で踵立ちとつま先立ちを行います。
 座位の場合太ももの上にダンベル等の重りを乗せることで負荷を掛ける事が出来ます。
 その際、足首が外側に開かないよう、内側の腓腹筋、大腿内転筋群を意識しましょう。

 また、立位でのカーフレイズは階段や段差を利用することで、負荷の増大、可動域の改善にも効果がでます。ボールやタオルを挟むことで下腿、大腿ともに内側に力が掛かりやすくなり、足首が開きにくくなります。
 足底(第3回参照)の力をまっすぐ上に伝える力、足関節可動時の安定性を養います。
 回数は15回を目安に3~5セット行いましょう。

②クワッドセット&ニーエクステンション

 膝の下のボールを踵を浮かさずに潰します。その後、ボールを潰したまま膝を伸展します。
 この時に股関節、膝関節、足関節をまっすぐにする。つま先の向きと膝蓋骨(お皿)の向きを揃えるようにしましょう。
 大腿部内側広筋(第4回記事参照)を意識して行って下さい。
 膝関節が内側に入る(ニーイン)を防ぐことにより、アライメントを整え、関節部分へのストレスを軽減します。
 回数は15回を目安に3~5セット行いましょう。

 ③スカプラモビリティトレーニング

 Y→W→L→ストレート→L→W→Yの動作を行います。肩甲骨を内下方方向へ誘導、固定させる姿勢作りのトレーニングです。
 肩甲骨は通常第2~第7肋骨間、棘突起から上方は5~6cm、下角は7~8cm離れており、肩甲棘は第3肋骨あたりに位置しています。
 動きとしては外転、内転、挙上、下制、上方回旋、下方回旋の6動作あります。

 またバレーボールの競技特性では肩関節の位置が前方に変位する姿勢を取りやすく、姿勢の崩れや、肩関節部へのストレスが掛かりやすくなります。
 これらを予防するために、肩甲骨の位置関係を保つトレーニングが必要になります。上腕肩甲リズムを保つためにも、肩甲帯の正確な位置での安定と、動きやすさはとても重要になります。
 10往復を3~5セット行いましょう。

 その他、肩関節の安定には、ファースト、セカンド、サードの各ポジションでの内旋、外旋動作によるインナーマッスルのトレーニングが有効です。

 ファーストポジション(肩関節0度、肘関節90度屈曲位)
 セカンドポジション(肩関節90度外転、肘関節90度屈曲位)
 サードポジション(肩関節90度外転、90度水平屈曲、肘関節90度屈曲位)

 それぞれの姿勢でセラバンド(チューブ)を使用して外旋、内旋の各動作を行います。

 セカンド、サードポジションは肘部分を台などに乗せて行うと代償を動作を最小限にすることができ、ターゲット筋に的確な負荷が掛かります。
 回数は15~20回を目安に3セット行います。15回から20回目に筋が熱くなるような感覚が重要です。少し弱めの負荷で無理なく行いましょう。

 スタビリティ&モビリティ、その先に筋肥大、筋力向上、動作改善等、特異的な競技別トレーニングが続きます。まずは基本の姿勢を意識して、ベース作りのトレーニングを実践してみて下さい。

 次回はマラソンのツボ~マラソンに多い障害とその予防~をお届けします。

 障害の予防にはスタビリティ&モビリティの理解が大切である。〇か×か?

 答えは〇です。障害の予防にはスタビリティ&モビリティの理解が重要です。


<プロフィール>

長谷川 賢宏(はせがわ たかひろ)

柔道整復師
了徳寺学園医療専門学校卒業
21歳の時にこの道を志し、師と仰ぐ先生に出会いトレーナーの一歩を踏み出す。
フリーランスでスポーツクラブパーソナルトレーナー、サッカー、バスケットボールチームのフィジカル・コンディショニングコーチを行ないながら、スポーツトレーナーとしての経験を積む。医療資格取得後、鍼灸接骨院運営、スポーツトレーナー派遣を行っている有限会社ケッズグループに入社、現在は代表取締役として、選手、患者様のサポート、後任の指導、育成に力を注いでいる。

主な経歴
2012ロンドンオリンピック ビーチバレー男子日本代表チーム トレーナー
2015ユニバーシアード光州大会 バレーボール男子日本代表チーム トレーナー
日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ(医・科学サポートスタッフ)
その他、高校、大学など育成年代のサッカー、バレーボール、バスケットボールチームのサポートを行う


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