オークボアツコの「筋肉豆知識」

オークボアツコの「筋肉豆知識」

笑筋

‘えくぼは恋の落とし穴!’なんていうPRフレーズもありますが、皆さんの頬に「えくぼ」はありますか?今回の「笑筋」は口角を横方向に引っぱる動きを担当する筋です。大きく笑う時だけでなく、前歯を見せずに小さく微笑んだりするときにも使い、えくぼに関わる筋のひとつとされています。笑筋の筋線維は広頚筋の顔面部の上と耳下腺筋膜から起こり、もう片端は口角の皮膚に付いています。このように片方の端が皮膚に付着するタイプの筋肉を「皮筋」と呼び、ヒトの表情筋などがこれにあたります。つまり、収縮すると皮膚が引っ張られ、様々な表情を形作るわけですね。ちなみに他の哺乳類や爬虫類、鳥類などでは体幹の皮筋が発達しており、体の皮膚を動かすことができるものも多いです。ヒトでは体幹皮筋が退化して無くなり、逆に、顔面の皮筋が発達しました。顔面の体毛もなく表情を表すのも読み取るのも容易ですから、これが互いにコミュニケーションをとる時の重要なツールとなっています。

人の印象を決めるのは、外見が55%、次が音声(38%)、次いで話す内容(7%)…という説があります。進化の過程に置いて、危害を加えるヒトや猛獣の脅威から逃れるためにも、相手の表情を的確に識別することが生存に有利であったことから、表情を識別する神経回路がこれだけ発達したのだろうと言われています。これを逆手に取ると、視覚情報をコントロールするのが好感度を上げる手っ取り早いやり方、ということになりますね。「あなたに敵意はないですよ」そして「あなたにと仲良くしたいです」を言葉よりもよく伝えるもの、それは表情筋をきちんと使ったバランスのよい「笑顔」かもしれません。口の両端を真横に引いたときに口角の下がるタイプの方、また、口の両わきにたるみのある方は、笑筋を鍛えるエクササイズを習慣にしてみてはいかがでしょうか。

やり方はシンプル。上下の前歯を軽くかみ合わせ、自然な形で口を閉じます。5つ数えながら、両方の口角をゆっくりと外側に引いていき(少し引き上げ気味にしても構いません)、最も外側に引き上げたところで止めて5秒キープします。ここからまた5つ数えながらゆっくり元の表情に戻していき、これを1日に5回連続で行います。鏡を見て、自分の表情をチェックしながら行うと効果的ですよ。口まわりの筋も皮膚もストレッチされてほぐれるので、血流も良くなって一石二鳥です。

なお、口のまわりにある表情筋群(口輪筋、頬骨筋、笑筋など)が収束して交差点をつくる部位のことを「モダイオラス(口角筋軸)」と呼び、この周辺にえくぼができるのだと言われます。特に、皮膚が柔らかく、顔面の皮下脂肪が厚い状態にある、小さな子や女性によく現れます。笑筋だけがその成因になるわけではなく、笑ったときの筋収縮によって皮膚が引っ張られ、部分的に皮下脂肪の薄い部分がキュッとくぼんだ状態になることを「えくぼ(笑窪)」と呼んでいます。えくぼの数ですが、多いひとは8個もあるそうですよ。ちなみに私は右の頬だけの片えくぼです。表情筋のトレーニングで作ることもできる、と言われますが、どうでしょう。チャームポイントの欲しい方はチャレンジしてみては。ちなみに美容形成では、ちょっと糸で皮膚を縫い止めるだけで簡単にえくぼを作る手術も人気があるそうです。

どうしてえくぼがあると可愛らしく見えるのか…実は、赤ちゃんの時は皆、えくぼがあるという説もあり、成長段階で顔の皮下脂肪量が全体的に減ってくるとそれが見えなくなるそうなのです。子供のような瑞々しい無垢な若々しさの象徴として、ヒトの目を惹き付ける効果があるのかもしれませんね。最近は、はっきりしたえくぼがある人が減り、ほうれい線が若い年代にも多く見られるようになっているとのこと。表情筋も含め、若者世代の筋力低下が著しいこと、また生存のために笑顔を作る必要性が弱まってきていること、などがその原因かもしれません。笑顔はコミュニケーションの潤滑剤。笑筋を味方に付けて、自分も他人も笑顔にできる快活な毎日を送りたいものですね。


<プロフィール>

オークボアツコ

1978年3月生まれ。♀
本職は大学講師・理学療法士。その傍ら、絵の製作活動などやっています。
そんな諸々の素性が重なったご縁で、このたび「筋肉かるた」読み札の挿絵を担当させて頂きました。
趣味はランニングと飲酒を少々。筋トレでなく肝トレに励んでいる日々です。

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