オークボアツコの「筋肉豆知識」

オークボアツコの「筋肉豆知識」

オトガイ舌骨筋

何故この筋が筋肉総選挙で『筋肉かるた』メンバーに選出されたのか…きっと組織票でもあったんだろう。そうに違いない。などと内心思っております、オークマです。だって小さいし、すごいマイナーじゃないですか…

いや、それは兎も角、気を取り直して書くことに致します。「オトガイ」は下顎の先端のこと。舌骨は舌根(舌の付け根)を支えており、下顎と咽頭の間、位置としてはノド仏の2cmほど上に存在します。哺乳類の舌は、咀嚼したり舐めたり喋ったりと柔軟に動く筋肉の塊ですが、舌の中に骨はありません(ちなみに、柔軟に動く舌が必要ない魚類や鳥類の舌の中には芯になる骨があります)。舌骨は他の骨と関節を形成せず、頸部の筋肉で吊るされたような構造になっているため、それ自体が柔軟に上下運動ができる構造になっています。したがって、このオトガイと舌骨を上下に結ぶ「オトガイ舌骨筋」は、舌骨が固定されている場合は下顎を引き下げ(開口)、逆に下顎が固定されている場合は舌骨を挙上する(嚥下)働きがあります。

オトガイ舌骨筋を含め、舌骨に付着している筋群のうち舌骨の上部に存在するものをまとめて舌骨上筋群と呼びますが、ここの筋力が低下して舌骨の位置が下がってくると、顎の下がたるみ、いわゆる「二重あご」の状態になると言われています。特に普段、口数が少なく、柔らかいものばかり好んで食べている、舌の動きの少ないあなた。活き活きと若々しいシャープな顎のラインを保つためにも、舌骨の位置を引き上げるトレーニングを日々の習慣にしてみるといいかもしれません。滑舌が良くなる効果もあるようですよ。

まず1つ目は、頭部挙上トレーニング(別名:シャキア・エクササイズ)。仰向けになった状態から、肩は床につけたまま、頭を持ち上げて爪先を見つめて1分キープ。下ろして1分休み、これを3回繰り返します。次に反復運動練習として、今述べた頭部のアップ&ダウンを30回連続で繰り返します。1日に3回行うと良いとされていますが、無理の無い範囲で継続してください。2つ目は開口トレーニングです。口を大きく開いた状態で10秒間キープします。これをくり返し5回、1日に2セット行います。これらは実際に嚥下機能が低下している患者さんたちに実施され、1ヶ月程度の継続で効果が認められたとの報告があるエクササイズです。他にも、顎を挙げて天井を見上げるように立ち、舌を思い切り上に突き出して3秒キープ×20回、といったトレーニングが二重あごの解消に推奨されることも多いですね。また、ガムを噛む習慣のあるかたに、ガムトレーニングをご紹介しておきます。噛んだガムをボール状に丸めて、舌の中央に乗せます。ここからガムの塊を上顎の天井にギューっと強く舌で押し付けて、円形に押し広げ、舌を強く押し付けたままゴックンと唾液を飲み下します。あ、ガム飲み込まないでくださいね。1日に3分ほど行うと効果的だそうです。地味な筋肉ですが、地味なトレーニングでも日々継続していれば効果は徐々に上がってくるもの。日常生活で習慣化できる時間枠を見つけてしまうのも手ですよね。例えば歯磨きのついでとか。

それよりもまず、普段の自分の舌の位置を意識し、舌骨の位置が下がってしまわないよう舌を正しい位置に置く癖をつけることが先決かもしれません。これを読んでいる今、あなたの舌はどこにありますか?正しい位置は、舌先が上の歯と歯茎の境目に軽く当たっており、舌全体が上顎の天井に密着していて、全体がきちんと上顎の中に収まっている状態。普段から、口をきりっと結び、舌の正常な位置を保ち、鼻呼吸をして過ごすよう心がけてまいりましょう。

<プロフィール>

オークボアツコ

1978年3月生まれ。♀
本職は大学講師・理学療法士。その傍ら、絵の製作活動などやっています。
そんな諸々の素性が重なったご縁で、このたび「筋肉かるた」読み札の挿絵を担当させて頂きました。
趣味はランニングと飲酒を少々。筋トレでなく肝トレに励んでいる日々です。

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