オークボアツコの「筋肉豆知識」

オークボアツコの「筋肉豆知識」

上腕二頭筋

Tシャツの袖がはち切れそうな、たくましい力こぶ。マッチョはそんな好みじゃないから~…なんて常々言ってるワタシも、実は嫌いじゃないです。いやむしろ好きですごめんなさい。皆さんはいかがですか?

さて、この“力こぶ”を形作る筋肉が上腕二頭筋です。二頭という名前の通り、起始(胴体側に腱が付着している部分)が「長頭」と「短頭」に分かれています。長頭は短頭の外側、肩甲骨の関節上結節から、短頭は長頭の内側、肩甲骨の烏口突起から始まり、筋腹部で一緒になって、大部分は橈骨の内側に付着します。肩関節と肘関節、2つをまたいで走行しているので、二関節筋に分類されます。作用としては手のひらを上に向けて(この動きは「前腕を回外する」といいます)肘を曲げる動作を担っています。ドアノブなどが右回りに捻るように作られているのは、回外動作では上腕二頭筋が働くため力が出やすいから、とされています。あ、でもこれ、左利きのひとには逆に使いにくいってことですよね…。

それはそうと。上腕二頭筋全体を効率よく鍛えるには、ダンベルやバーベルを使ったアームカール(肘屈曲)トレーニングが一般的です。ただ、バーベルを上げ下げすることに必死になり、上腕二頭筋に効かせることに意識が向いていないようでは筋肥大効果が半減してしまいます。バーベルが重いほど良く効くわけでもありません。正しい姿勢で、正しく二頭筋を狙って負荷をかける。重すぎる負荷では、二頭筋の収縮への集中を妨げ、無駄で中途半端な動きになってしまう危険性があります。まずスタートポジションですが、負荷が後方に逃げないよう、肘関節は必ず胴体の前方に位置するよう注意してください。バーベルのバーは軽く握り、肘は胴体に固定せず自然に開いた位置にします。ここから前腕を上に上げて行きますが、拳を巻き込むような形にならないように。あくまでも上腕二頭筋を完全収縮させ、最終域までしっかり曲げることを意識します。バーベルを下ろしていく際も、常に二頭筋に負荷が乗っていることを意識しつつ、肘が後方に引けないよう注意します。完全に腕を伸ばしきらず、少し曲げた状態に戻り、反復を行います。単なるバーベルの上下運動にならないよう、回数ばかりにこだわるのはやめましょう。あくまで、狙う筋肉の収縮と伸展を意識しながらテンポよく(速くなくて大丈夫!)、反動を使わずに行いましょう。筋肥大を目的とする場合、バーベルの重さの目安は、正しいやり方で実施したときに10〜15回程度で限界となるくらいが適切です。 逆に女性の場合は、特にムキムキを目指したいわけでなく、二の腕の引き締めを目的とされる方も多いでしょう。この場合は、普段からのストレッチに加え、軽い負荷でのアームカールを、しっかり呼吸しながら回数を多く繰り返すのがいいでしょう。

ただし、「見せる」ための筋肉ではなく、実際にパフォーマンスを求めるアスリートの場合、いたずらに筋肥大を目指しても競技に向かない場合があります。必要なのは持久力か?パワーか?柔軟で正確な動きなのか?を考えてトレーニングメニューを組むことが大切です。

ちなみに、上腕周径のギネス記録をご存知ですか?エジプト生まれのボディービルダー、ムスタファ・イスマイル氏(24)。ボディビル歴は10年とのことですが、いわゆる「力こぶ」部分の周径は約79センチ。過去に上腕二頭筋を褒められまくったことがきっかけで、「上腕二頭筋を集中的にトレーニングしよう!」と決意したとのことです。褒められて伸びる男、ご興味のある方、画像検索してみてください。

<プロフィール>

オークボアツコ

1978年3月生まれ。♀
本職は大学講師・理学療法士。その傍ら、絵の製作活動などやっています。
そんな諸々の素性が重なったご縁で、このたび「筋肉かるた」読み札の挿絵を担当させて頂きました。
趣味はランニングと飲酒を少々。筋トレでなく肝トレに励んでいる日々です。

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