インフルエンザが猛威を振るう今日この頃・・・皆さんお元気でお過ごしでしょうか? 今月は私が行っている『指導計画と指導の循環』についてお話をさせていただきます。
これは、参加者に具体的な目標を伝え、『指導の循環』を行うことで、指導者が参加者と共に成長していく進め方です。
はじめに『指導の循環』について確認しましょう。
【指導の循環】
『指導の循環』とは、指導者がエクササイズを習得し慣れていくために、安全で効果的に楽しめるエクササイズを段階的に指導して行く方法です。
ポイントは、
①参加者の様子を把握するために観察する。
②観察の状態に応じて修正を行う。
③観察と修正を繰り返す。
④修正の結果を確認して、参加者を認める(褒める) です。
【指導の循環は計画性を持って行いましょう】
皆さんは何かに取り組むときにスタートとゴールを設定し、その中で何をどのようなタイミングでどのくらい時間をかけて進めていくか、計画を立てますよね。重きを置くところ、確認を繰り返しながら完成度を高めていきたいところ、楽しむことに集中するところなど様々なプランが頭の中をよぎることでしょう。
今回お話させて頂く内容は、計画的に指導プランを練ることで目的にフォーカスした指導の循環を行うことができ、それにより参加者の達成感と満足感が高まり、目標達成の喜びを共有することで信頼関係を構築する方法です。
1回のグループエクササイズの指導の中で参加者の技術やモチベーションを上げるために、どのようなプロセスで指導していくか、指導計画を立てます。レッスンの目標やゴールを設定し、それを参加者に伝え共有しながら指導をします。
この方法により修正の言葉がより分かりやすくなり、参加者に響きます。その結果、動きの精度やモチベーションが高まり、動きと気持ちの達成感と充実感が得られます。
例えば、体幹を安定させ肩股関節の周りの可動域を滑らかに使うエアロビクスプログラムを作成した場合、レッスンの前説で『今日はニーリフトを行っていきます。体のバランスと姿勢を意識して動いていきましょう!』と内容と目的とゴールを参加者に伝え情報共有します。
時には見本を見せながら、今日のレッスンで『今日はここまでやってみましょう!』と伝えても良いでしょう。
レッスン中、体幹を安定させる動きとコツにフォーカスして、観察・修正・賞賛を循環させてより良い動きに導きます。
体幹への意識も高まり余裕が見られたら、股関節の可動域を考慮しコントロールした動き方ができるように、観察・修正・賞賛の循環を継続します。
再現性がある動きになるよう声掛けを行いながら、参加者がチャレンジできるように積極的に循環を繰り返します。
いよいよ完成です!レッスン終了まで、参加者の成長を振り返る声掛けを盛り込み、指導の循環をしながら最後までモチベーションが下がらないように進めていきます。
その日のレッスンの指導計画を立てて目標設定をすることで、参加者自身で効果測定ができ、体と心の達成感と充実感が感じられるのです。
【指導の循環を行う時に考慮したいこと】
慌てずに安定した動きとコントロール、気持ちのモチベーションの維持ができるよう見守りながら、観察しましょう。
「観察と修正」、「修正と賞賛」を繰り返し、少しでも変化が見られたらタイムリーに賞賛しましょう。このサイクルが多い程、参加者は達成感を感じますから、修正の内容は端的に明確に伝えて、指導の言葉(賞賛)はメリハリを持ち伝えるようにしましょう。
修正を繰り返すごとに、声掛けの内容も『より良く動けるように』グレードアップさせていくことを心掛けて行います。(本コラム第1回目の内容も参考にして下さい)
【指導計画を立てることでの指導者のメリット】
・自分も段階的に成長ができます。
・参加者の長所短所が明確になるため、成長して行く姿を見ることができます。
・目標達成と成長の喜びを参加者と共感することができます。
・(パート別の時間配分などの)時間の管理が上手くできるようになります。
・落ち着いた指導ができます。
【参加者のメリット】
・レッスンの目標を設定することで長所短所が明確になり、新たな目標ができます。
・観察と修正の循環で小さな目標を設定しているので、達成できたことの喜びが沢山あります。
・運動の大切さを感じることができます。
・次回の参加が楽しみになります。
・継続につながります。
ちなみに私の場合、 3ヶ月毎にゴール目標を設定します。また、進行状態に差が出てくることも予測して2通りの目標を設定します。余裕がある参加者にはより成果を体感できる目標を設定したり、新しいことにチャレンジさせる言葉掛けができるよう指導の仕方に伸びしろを持つよう心掛けています。
【まとめ】
「指導の循環=段階的指導」は自分を成長させるサイクルでもあります。指導の循環もコミュニケーションのひとつです。どんなに短時間のクラスでも行われているはずですから、難しいことではありません。先ずは今のレッスンを見直すことから初めてみましょう。
指導の循環は指導者の個性により印象も様々です。カッコいいコリオを伝えることも大切ですが、指導者は人を育てるための熱意と優しさ、運動指導者として必要な知識と責任感(プロ意識)を持ち現場に立つことが大切だと思います。
指導者としての品格を大切にしながら、運動することの大切さやメリットなどを伝えていきましょう。
<プロフィール>
内田和美(うちだ かずみ)
一般社団法人日本健康体操普及連盟 KAZE認定インストラクター
FNC認定パーソナルトレーナー
耳ツボジュエリーセラピスト
全日本剣道連盟剣道三段
元JAFA/エグザミナー
元FTPピラティスベーシックマスタートレーナー/グラビティトレーナー
(株)東急スポーツオアシス元教育チームスタッフ
学生時代は女性剣士として海外遠征を経験。現在は、都内のフィットネスクラブにてエアロビクス、ピラティス、バランスボールやツールを使った調整系クラス、マッスルトレーニングを指導中。パーソナルトレーナーとしても活動中。昨年より横浜銀行アイスアリーナフィギュアスケート選手のオフシーズントレーナーを担当。他にも、フィットネスインストラクターの育成や教育研修、フィットネス関連の雑誌にコラム執筆など多彩な活動をしている。