内田和美の「フィットネス指導現場あれこれ」

内田和美の「フィットネス指導現場あれこれ」

第2回 指導について その②

 皆さんこんにちは!
 都内フィットネスクラブを中心に、快適な毎日が送れるようココロと身体のサポートをしている内田和美です。
 
 今月は先月に続いて「指導について」の2回目です。
 今回は声の使い方について、次の 3 点を皆さんと一緒に考えていきましょう。
 
 ① レッスンを演出する声の使い方とは?
 ② 声の使い方でレッスンのセンスを磨く!
 ③ 生き生きとした声で好感度アップ!
 
 数年前、契約をしているフィットネスクラブの実技査定を受けた時のこと。
 スーパーバイザーの方から声の使い方について大変貴重なアドバイスを頂きました。
 「今の貴女は宝の持ち腐れ。伝えたいことを準備しているのだから、明確に伝える声の使い方を練習してみたらどう?」というものでした。
 
 当時の私の声の使い方はハイトーン。しかも早口。何を言っているのかわからない空回り状態でした。先生から頂いたアドバイスを参考に、いつも行っているレッスンでの前説やご案内放送のほんの僅かな時間に練習しました。声に出してゆっくりと絵本を読んでみたりもしました。意外に楽しみながら練習することができました。
 
 今回は、その時に具体的な改善点として挙げていただいた内容を皆様にご紹介します。
 
 エアロビクスやプレコリオなど音楽を使うグループエクササイズでは、音と声とのボリュームバランスが非常に難しく、それがクラスの印象となると同時に指導者のイメージにもなります。そこで次の 4 つの項目を押さえて、声の使い方を工夫してみましょう。
 ①声のボリューム(大/小)
 大きな声=パワフルで元気
 小さい声=優しい
 
 注意すべき事は「…すぎる事」。つまり、大きすぎる声は「うるさい」、「怖い」、「命令されている」と感じます。では小さすぎるとどうでしょう? 逆に、「弱々しい」、「熱意がない」、「自信がない」と感じます。
 
 ②トーン(高い/低い)
 低い=力強い、落ち着いている、安心する
 高い=明るい、楽しい、気持ちが高揚する
 
 こちらも同様に、高すぎると「耳障りでうるさい」、「聞き取れない」などのストレスがあります。一方で低すぎると、「暗い印象」、「熱意がない」と感じます。
 また、指導者側も高すぎる声で指導を続けると息が切れ、表情が険しくなる上、顎があがって正しい姿勢で動くことが難しくなります。
 
 ③テンポ (ゆっくり/早く)
 早い=建設的に物事を伝える印象
 遅い=のんびりしている、上品
 
 早すぎると「せっかち」、「聞き取りにくい」、「慌ただしい」印象になります。遅すぎるとタイミングが掴めずストレスが溜まります。
 
 
 ④抑揚をつける (強/弱メリハリ)
 ・クラスの演出力が高まる
 場面によって使い分けるとドラマティックな演出になり、プログラムにメリハリが出ます。
 ・自己表現力が高まる
 動きのパフォーマンスにメリハリが出ます。
 ・参加者の気持ちのコントロールができる
 高揚と鎮静、いわゆる盛り上げとクールダウン…です。

 ここでもう一つテクニックとして、「適度な間(ま)」を作ってみましょう。
 意図的に沈黙の場面を作り意識を集中させる雰囲気作りをします。大切な内容や言葉、クラスのキーワード等、際立たせたい!印象づけたい! そんな時には、あえて間を作り、参加者を集中させます。「次に何を話すのだろう?」と興味をわかせたあとで、先に紹介した①から④の項目を活用していきましょう。
 
 4 つの項目が確認できたら、実践に向けて最後に抑えておきたいポイントがあります。
 それは 4 つの項目を偏りなく活用することです。偏りなく使うことによりレッスンの雰囲気にもメリハリが出てきます。
 声の使い方のテクニックを知っていれば、エンディングまで参加者の気持ちを集中させながらより充実感溢れるレッスンになります。
 
 
 これさえ抑えておけば、あなたの伝えたかったことがより印象深く相手に伝わり、お互いのモチベーションが上がるでしょう。
 4 つの項目が整理できたら、更に顔の表情やジェスチャーもつけてみましょう。
 ポイントは、
 ・声を出すときには口を縦横に大きく動かす
 ・表情豊かに
 ・豊かなボディーランゲージ
 
 いかがでしょう?
 スーパーバイザーからご指摘頂いたお陰で、今ではレッスンの雰囲気も良く、参加者の皆さんも楽しんで下さっているようです。館内のレッスンのご案内も「心地よい案内ですね。耳障り良くわかりやすいですよ!」と好評です。
 また、日常の生活の中でもちょっとだけ意識してみると、普段の話し方も落ち着いてきます。
 より相手との会話が弾み、好感度が上がります。
 
 最後に…
 伝えようとする気持ちがある人は言葉を大切にします。
 生き生きとした言葉は人の心の奥に響きます。
 話し方はその人となりがあらわれます。
 
 インストラクターの表現力は無限です。
 自分自身の伸びしろを信じて声の持つ力を駆使し、運動することの楽しさを伝えていきましょう。
 先月のわかりやすい伝え方と合わせて是非実践してみて下さいね!ではまた来月!


<プロフィール>

内田和美(うちだ かずみ)

一般社団法人日本健康体操普及連盟 KAZE認定インストラクター
FNC認定パーソナルトレーナー
耳ツボジュエリーセラピスト
全日本剣道連盟剣道三段
元JAFA/エグザミナー
元FTPピラティスベーシックマスタートレーナー/グラビティトレーナー
(株)東急スポーツオアシス元教育チームスタッフ

学生時代は女性剣士として海外遠征を経験。現在は、都内のフィットネスクラブにてエアロビクス、ピラティス、バランスボールやツールを使った調整系クラス、マッスルトレーニングを指導中。パーソナルトレーナーとしても活動中。昨年より横浜銀行アイスアリーナフィギュアスケート選手のオフシーズントレーナーを担当。他にも、フィットネスインストラクターの育成や教育研修、フィットネス関連の雑誌にコラム執筆など多彩な活動をしている。



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