今週の窓

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第6回 栄養「ゆっくり、ゆったり、スローカロリー」

 世界保健機関(WHO)が2016年4月6日、世界の成人の糖尿病患者数が、2014年に4億2200万人に達したと発表した。1980年の患者数は1億8000万人だから、約2倍以上だ。大きな原因は、食生活の偏りと運動不足で、世界の成人の3分の1以上が肥満傾向だという。
 肥満と糖尿病の悪化を防ぐためにも、何とかしなくては・・・

 ここで登場するのが、スローカロリーという考え方である。
 糖質(ブドウ糖)を、血液中にゆっくり吸収させて、血糖値の急上昇を抑える食事の摂り方だ。

 なぜ、「ゆっくり」がいいのか?
 ブドウ糖が血液にとり込まれると、血糖値は上がる。
 それと同時に、血糖値の上昇をおさえるインスリンも分泌される。血糖値が急激に上昇すると、インスリンも大量に分泌してしまい、これが身体に脂肪をため込むことにつながりやすくなる。インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンだが、脂肪の合成もするホルモンということである。

 そこで、どうやって「ゆっくり」にしていくのか?
 食べ方としては、「早食い」はもってのほかとなる。
 食べる速度が早い=食後血糖急上昇へまっしぐら・・・である。
 食物繊維を含む野菜を多く摂るのは言うまでもないだろう。
 野菜を食事のはじめにとることで、食べ過ぎも防止できる。
 さらに、小腸からの糖や脂質の吸収を抑制し、食後の血糖上昇を抑えるために効果的だ。ただし、野菜は主食ではなく、副菜である。食べすぎはおすすめできない。

 糖質を調整したり、様々な考え方があるだろう。
 高脂肪食にすれば、血糖の上昇は少ない。
 ただし、長期間続けると、動脈硬化のリスクは上昇する。
 一見、糖尿病は良くなったように見えるが、知らないうちに動脈硬化は進行しているのである。

 この「知らないうち」がポイントになる。
 糖尿病になると、痛みを感じにくくなるので、動脈硬化の発見が遅れてしまう・・・ということになりかねないのだ。
 また、動物性(主に肉由来)の食事に偏ると、糖尿病だけではなく、がんや心疾患のリスクも上昇する。
 運動量が少なくなっている便利な現在においては、炭水化物を少なくして、動物性の食品が多くなると、生活習慣病のリスクが上昇しやすいということなのである。

 今や、スローカロリーの関連商品も発売されている。
 そして、甘味料も多数でてきている。
 甘味料は、砂糖と併用しても血糖上昇は緩やかになるという。
 ただし、甘味料を使う→常に甘い味がある→甘い味はみんな同じ・・・という「味慣れ」もおすすめはできかねる。
 現在はなんでもスピードの時代。食事のひとときだけでも、新幹線ではなく、鈍行列車で行きたいものである。

<プロフィール>

小山 幸子 (こやま さちこ)

東京在住。
高校卒業後、国産車カタログ製作会社に8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。
15年間の病院勤務を経て、2014年よりフリー。
現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等の活動をしている。
『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。
メカオンチのあがり症。趣味は書道。
管理栄養士・西東京糖尿病療養指導士・毎日書道会会友(雅号:小山 桃花)



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