山田聡子の「栄養のツボ!」

山田聡子の「栄養のツボ!」

第2回 ラグビーから学ぶ栄養

 こんにちは。先週お話しした「栄養フルコース型」の食事はできていますか?いきなり5つのアイテムをそろえるのが難しい場合は2つ、3つと少しずつ増やしてみてもOKです。栄養バランス良く食べると、ふと気づいた頃に「あれ?最近調子がいいや」とか「今年は風邪をひかないなぁ」ということがあります。継続は力なりですので、どうぞ無理のない範囲内で取り組んでみて下さい。

 今回はちまたで話題のラグビーから学ぶ栄養についてです。

 私は剣道、柔道、サッカー、陸上、ライフセービングなど様々な競技に今まで関わらせていただいていますが、一番栄養サポート歴が長いのがラグビーになります。ラグビー選手は力強いスクラムや激しいコンタクトができること、80分間の試合で走り続けられること、常にスタートダッシュができることなど、体が大きく、かつ筋力、持久力、爆発的パワーを兼ね備えていることが必要です。加えてルールや戦略について頭をフル回転しなくてはならないので思考能力を維持する必要もあります。通常の食事においては充分なエネルギー量(食事量)の確保、たんぱく質・炭水化物をしっかり摂る、無駄な脂肪は摂らない、体調を整えるビタミン・ミネラルを欠かさないなどがポイントです。

 試合ではない通常時、ラグビー選手はラグビーそのものの技術練習とともに、多くの選手が筋力アップのためのトレーニングも行います。トレーニングをこなし、かつ体重を維持したり増やしたりするには、一般の方が体重1kgあたり0.9gのたんぱく質が必要なところ、選手は2倍の2gほど必要となります。単純に言うと、夕食に肉料理がメインだとしたら、ラグビー選手は肉料理と魚料理の両方を食べる必要がある、ということです。

 ただがむしゃらに食べればいいというわけではなく、増やしたい体重の中身は脂肪ではなく、筋肉になります。ですので体の大きな選手であっても、グラウンドの練習をし、筋力トレーニングをし、その後さらにグラウンドの周りを走ったり、エアロバイクに乗ったりして脂肪燃焼に励んでいた姿を良く見ました。体のために必要な運動と材料である栄養をしっかりと摂ることで理想のラグビーのパフォーマンスが発揮できるわけです。

 今回の日本代表チームは身体能力を高めるためにハードなトレーニングをしたと聞きました。トレーニングがきつければ栄養に対しても気を付けていたことは間違いないですね。

 試合での食事は炭水化物が多めで、脂質が少なめの、さっぱりとしたメニューがお勧めです。また次のことに注意します。

 試合の前日、気合を入れてトンカツ(勝つ)や焼肉などを食べたくなるかもしれませんが、脂質の多いメニューは消化に時間がかかります。試合前日、当日は心も体も緊張している可能性があるので普段はOKでも、揚げ物やこってりとした料理は控えましょう。運動会の人気おかずナンバーワンは鶏のから揚げですが、こちらも同様です。鶏のから揚げは運動会の次の日の夕食あたりで食べましょう。

 試合当日の食事は炭水化物が多いごはん、麺類、パン類、果物を中心としたメニューがいいでしょう。1日で複数試合が行われるような場合は、試合と試合の間が一番長いときに昼食をとりましょう。試合間にあまり時間がない時は捕食を活用します。ゼリードリンク(炭水化物が中心のもの)、果物、スポーツドリンク、バナナ、りんご100%ジュースなどがお勧めです。

 ラグビーの試合当日に出していた昼食の献立
鶏ねぎうどん、おにぎり、果物。おかずはあってもなくてもいいですが、出しても少しだけにしましょう。海老と青菜の炒め物、サラダになります。ポイントは炭水化物が多め、脂質は少なめでさっぱりとしていることです。運動会のお弁当はおにぎり、いなりずし、炊き込みご飯などを中心とし、おかずは少しだけでOKです。

<プロフィール>

山田 聡子 (やまだ あきこ)

日本体育協会公認スポーツ栄養士、管理栄養士、健康運動指導士。
青山学院大学国際政経学部卒業、及び、東京健康科学専門学校栄養士科卒業。
2003年~2007年明治製菓株式会社(現・明治)ザバス スポーツ&ニュートリション・ラボ勤務。
明治製菓在籍中は、全日本男子柔道 強化代表チーム、全日本男子バレーボール 山本隆弘選手、トップリーグ ラグビーチームなどをサポートした。
2008年よりフリー。アスリートの栄養サポート(2013~2014年 J1リーグサッカーチームなど)、スポーツ栄養の記事執筆、セミナー講演、専門学校講師などを中心に活動中。

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