オークボアツコの「筋肉豆知識」

オークボアツコの「筋肉豆知識」

腹斜筋

今回取り上げる「腹斜筋」を検索すると、「くびれ作りには腹斜筋を鍛えるべし!」というサイトがたくさん出てきます。筋肉かるたの読み札もそのものズバリですよね。

腹斜筋は「外腹斜筋」と「内腹斜筋」があり、どちらも脇腹にあります。どちらも下部肋骨から骨盤まで、広く脇腹を覆う薄い筋肉で、前者が表層にあり、後者が深層にあります。このうち外腹斜筋は、左右の下部肋骨から身体の中央、恥骨あたりに向かって斜めに走行しています。体脂肪の薄い細マッチョなおなかには、左右の骨盤のやや上方から恥骨方向へ向かうナナメの筋肉のライン(ちょうどコマネチラインというかハイレグラインというか、そんなあたり)がくっきり見えることがありますが、これが外腹斜筋のラインです。内腹斜筋はその下にあるので、走行は皮膚上からは観察できませんが、外腹斜筋の走行と直行するように、下部肋骨から骨盤の後方に向かって斜めに走り下りているような形状です。

身体の側面で肋骨から骨盤をつないでいる状態ですから、例えば右の外腹斜筋と内腹斜筋が収縮すれば胴体(体幹)が右に側屈します。また、「腹直筋」を鍛えるための‘腹筋運動’をするときに両脇腹を触ってみると、腹斜筋群にもぐっと力が入って硬くなる様子が分かるかと思います。つまり左右の腹斜筋群が同時に働くと体幹の前屈につながるわけですね。

ちなみに「ねじり腹筋(ツイスト・クランチ)」って分かりますか?膝を立てたあおむけ状態から、頭をまっすぐ起こすのではなく、頭の後ろで組んだ手の右肘と左膝を空中で合わせるように体幹を捻って行う腹筋のことです。これ、言うなれば右の肋骨と左の骨盤を近づけるように力を入れていますよね。すなわち、右の外腹斜筋と左の内腹斜筋が収縮して互いに引きつけ合ってねじりの動きが生じているのです。したがって、腹斜筋群を鍛えたければ、このツイスト・クランチを行えばいいわけですね。行う際はゆっくりと息を吐きながら、決して肘と膝をくっつけることを意識するのではなく、意識すべきは脇腹の腹斜筋群ですよ。左右交互に10回ずつ、短いインターバルをはさんで更にもう1セット。乗り気になっているうちに、うわ~疲れた、もう無理!という筋疲労状態まで追い込んで回数もしくはセット数を繰り返しておくと、2~3日に1回のトレーニングでも十分ではないかと思います。外腹斜筋をしっかり鍛えておくと、肋骨から斜め方向へのくびれラインがくっきりしてきますし、脇腹部分のコルセットを締め上げるようなものですから、内臓をしっかり押さえこんで細腰に近づける可能性大です(もちろん上に積もった皮下脂肪を燃やすことも大事ですけどね)。

内臓を押さえ込むコルセット、と今、書きましたが、脇腹の深層を水平に走行する「腹横筋」と、その上を覆う内腹斜筋、さらにその上を覆う外腹斜筋、走行方向の違う薄い筋肉が3層に重なり合い、内臓のつまった腹腔がガードされています。おなかの前面にある「腹直筋」も含め、これらの薄い板状の筋肉には、「おなかの内圧を高める」という大事な作用もあります。つまり、咳をしたり排便をしたり嘔吐をしたりする際の助けになるわけですね。そして、そのような突発的な事態だけでなく、腹腔におさまった内臓の位置を安定させたりもしているのです。腹部の筋がだらりと脱力していて、腹腔の内圧が低い状態では、内臓の適切なポジションを保っておくことが出来なくなり、下へ下がってきてしまう恐れがあるのです(有名なのが「胃下垂」です)。ちなみに胃の正しい位置はおへその上ですよ。そこのあなた、食後にぽっこり下腹部が膨らんじゃったりしていませんか?胃下垂のひどい方は、胃袋が腸の部分まで下りてきて沈み込んでしまってる場合まであるのだとか。

くびれと、すこやかな内臓のために、腹斜筋群を鍛えるトレーニングをもうひとつ。レッグレイズ・ツイストをご紹介します。仰向けになって両手を広げて床につけます。ここから、そろえた両脚を上げていき、床と直角になるまで持ってきます。ここから、脇腹の腹斜筋群が働いていることをを意識しつつ、ゆっくりと両脚を倒していきます。床すれすれまで下ろしたら、次は逆も。左右交互に10回ずつ繰り返します。自分の両脚分の重量が負荷としてかかってくるわけですから、かなりきついですよね。これも、疲労度合いが満足いかなければもう1セットどうぞ。あ、ただ、腰の悪い方は、腰への負担もかなり大きいですからご注意を。拳上した脚を、膝90°に曲げて行うと多少行いやすくなりますし、床すれすれまで下ろすのがつらければ、角度を甘めに設定するなど調整を行いましょう。

実はワタシ、くっきり浮き出た外腹斜筋ラインが、フェチというほどでもないですが、かなり好きです。見るのが好きとか触ってみたいとか言ってないで、自分も鍛えてみようかなあ。…あ、つもった皮下脂肪落とすのが先だわ…。皆さまもぜひ、トレーニングに加えてみてくださいね。ボディ・デザインに役立つこと間違いなしですよ!


<プロフィール>

オークボアツコ

1978年3月生まれ。♀
本職は大学講師・理学療法士。その傍ら、絵の製作活動などやっています。
そんな諸々の素性が重なったご縁で、このたび「筋肉かるた」読み札の挿絵を担当させて頂きました。
趣味はランニングと飲酒を少々。筋トレでなく肝トレに励んでいる日々です。

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