第二十三講:頸板状筋

今回の「けいばんじょうきん」は、首の後ろの深層部に存在し、脊椎に沿って縦方向に走っています。頭に近い部位を頭板状筋、首の部位を頸板状筋と呼んでおり、左右の板状筋が同時に働くと顔を上に向ける動き、どちらか片方が働くとそちらの方向に首を回して顔を向ける動きが起こります。時折、私たちは「首が回らない」状況に陥ることがありますね。あ、借金で、じゃないですよ。多いのは「寝違え」でしょうか。某調査によると、成人の約9割が寝違えを経験したことがあるとのこと。寝違えたことのある方は分かるでしょうが、あれ、首、場合によっては肩甲骨あたり、動かそうとすると本当に痛いですよね。原因は諸説あるようですが、睡眠中に無理な姿勢を長時間取り続けたり、急に無理な動かし方をすることで、首の関節や筋肉にダメージが起こる場合が多いようです。さすがに寝ている状況でアライメントを意識することはできませんからね…不可抗力と言えなくもないでしょう。枕の高さが合わなかったり、寝返りの回数が少なかったりする場合に起こりやすいとも言われるので、寝違える頻度が高い方は、枕にこだわってみるのも一案かもしれません。また、もともと首や肩の筋肉が凝り固まっているタイプの人も、筋肉の柔軟性や十分な血流が保たれていないため、寝ているときの急な体動に筋肉がスムーズについていけず、さらに凝りを強めたり、微細な筋断裂などのダメージを起こしやすかったりする可能性があります。

ちなみに、有名な医師モノのコミック内で、睡眠中に脇の下の神経(腋窩神経)が圧迫されることで寝違えが起こるという説が描かれたことがあり、ここでは、この神経の通り道に関わる筋肉をストレッチして、神経の締め付け(絞扼「こうやく」と言います)や圧迫を解放してやることで寝違えが治る、と説明されていました。恐らく、「寝違え」と私たちが呼んでいるざっくりした総称の中に、こういった腋窩神経の圧迫等を原因とするものも、首や肩の筋肉のダメージを原因とするものも含まれるというのが実際のところではないかと思います。痛みの場所や、どのように動かすと痛むか、そのような痛みか、といった痛みの性質を見極め、それに応じた対処法を取ることが必要になってきます。

慢性の痛みではない、何らかの‘原因の事象’がある痛みを急性痛と言いますが、寝違えに限らず、‘動かすと痛む’‘力を入れると痛む’‘押すと痛む’等のような急性痛が生じた場合、1週間から2週間、安静にして様子をみるというのが原則です。安静にし、数日の経過のうちに痛みが和らいで行くようであれば、あまり心配せず、痛みが解消するまで安静状態を保ちましょう。首回りの場合、痛みのある部位に筋肉の微細な断裂や炎症が起こっている場合(ぽうっと熱を持ったように感じるケース)も多いので、このような時は痛みが生じた直後にアイシングを行うと楽になります。氷を詰めた袋や氷のうを痛む部分に約10~15分あてておきます。アイシングを行う場合、「どの程度冷却するべきか」が大切なのですが、原則は「感覚がなくなるまで」です。炎症を生じている深部組織までしっかり冷却し、痛みの感覚の伝わりを麻痺させることが一応の目安となります。深部の筋肉までしっかり冷やしきれば、その冷却効果は60分程度維持できるとされています。なお、凍傷などが起こらないよう皮膚を守る工夫をするとさらにいいですね。アイスバッグと皮膚の間に、濡らしたタオルをはさむのがオススメです(乾いたタオルよりも熱のやりとりがスムーズに起こります)。冷たいのが苦手で、アイシングが苦痛だという方は、アイスマッサージがいいかもしれません。氷の固まりを直に皮膚に押し当て、筋肉の線維に沿ってマッサージするように滑らせる手法で、これも患部の感覚がなくなる(鈍くなる)まで行います。当然のことながら、徐々に氷が溶けてきますので、水滴で服がびしゃびしゃにならないよう、タオルを用意して、垂れる滴を拭き取りながら行いましょうね。また、氷を握っている方の手が冷たいでしょうから、氷の持つ部分に布を巻くなど工夫をしましょう。簡便なのは、紙コップに水を入れて凍らせておくこと。マッサージに使う部分だけ、17アイスのように(伝わるかなあ…)周りの紙をはがし、残った紙コップ部分を握りにして使うと便利です。

逆に、寝違えによる痛みが、神経の絞扼や血流不足によるものであれば、ゆっくりとしたストレッチで血流の改善を図ることで解消される場合もあります。凝り固まったような痛みの場合、決して反動をつけず、頭の重みを利用するくらいの感覚で、ゆっくりと首回りをストレッチしてみましょう。頸板状筋を伸ばすには、あごを引くように深くうなずき、首の後ろを気持ちよく感じるくらいの強さで引き延ばします。頸板状筋が硬いと、目の奥や頭が痛くなる方もいらっしゃいます。普段から、作業の合間に、ゆっくりと首を回すような軽い運動習慣をつけておくと良いでしょうね。お互い、将来的に首が回らなくならないよう、お財布事情だけでなく、身体のメンテナンスもしっかり行ってまいりましょう!

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